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ある晴れた日の午後、
僕は蝶を追いかけて ひとり
森を駆けていた。

そして、その船を見つけたんだ。
煌く煙を吐き出しながら、緑の海原を進む船を。
船長。こちら、地表部のヨゾラです。
まだ夕暮れには早かったみたいです。
これじゃあ、星が見えません。
回収はまだ難しいかと・・・

しかし、日暮れ前の地上というのはなんて明るいんだろう。
私たちにはやはり、太陽光というものは眩しすぎるなあ。

暗転灯がまったく役に立たないや・・・
おや、そこにいるのは 誰?

地表人の子供、か。参ったなぁ。
大人には内緒にしておいてくれないかな?
私たちの存在が明るみに出ると、色々と面倒なのでね。
君だって、ほら、地球を穴だらけにはしたくないだろう?

日が暮れるまでこのまま待機、かぁ。
国に帰ったらまた日焼けして!って母さんに叱られてしまうなぁ。
・・・君のお母さんはどう?優しい?
あはは、そんなに警戒しないで。
君に危害を加えるつもりはないんだからさ。

何をしているかって?
地表に降り注いだ星屑を回収するのが私たち乗組員の仕事なんだ。

ほら、日が落ちてきたから星屑が光り始めたよ。
これを国に持って帰るんだ。
各地で拾い集めてね。
ひとつのところで、たくさんはとってはいけないことになっているんだ。
必要なのは ほんのひと欠片。

それじゃ、もう行くよ。
さようなら。小さな冒険者くん。
船は再び銀色の煙を吹き上げると、夜の森の底へと消えていった。
I appreciate your visit!!!
***
それはまるで、夜の海を泳ぐクジラのようであった。
幼い私は彼女と交わした約束を破り
母や姉にその日見た出来事を話して聞かせた。
もちろん、子供の戯言を信じてくれるわけはなかったが、
母はにこやかに微笑み、
「そうなの、良かったわね。」と繰り返し頷いた。
目に見えたものは
氷山の一角に過ぎなかったのだろう。
大人になった今でも、その日のことは時々夢に見る。
- Asterの備忘録より。
Thank you for reading this to the end.
◇close◇
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